【2022年版】エンジニア必携の量子コンピュータ参考書をQiskit Advocateが選んでみた

量子コンピュータの技術は現在世界中の研究者の方々の努力により驚くほどの速度で発展しています。
実際にビジネスの現場に登場する日も一歩一歩近づきつつあります。

将来量子コンピュータがビジネスに使われる際に、私達エンジニアはAIやクラウドの様に量子コンピュータを使いこなせなくてはいけません。

とはいえ現在のコンピュータと動作原理から全く異なる量子コンピュータをいきなり使えと言われても無理な話なので、来たるべきときに備えて準備しておかないといつか時代に取り残されてしまいます。

そこで、この記事ではエンジニアの視点で量子コンピュータを使うために、勉強のために持っておきたい参考書をご紹介します!

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量子コンピューティング 基本アルゴリズムから量子機械学習まで

基本情報
  • 著者:嶋田 義皓
  • ページ数:304ページ
  • 発売年:2020年
  • 出版社:オーム社
目次

第1章 なぜ量子コンピュータ?
第2章 量子コンピュータの基本
第3章 量子計算の基本パッケージ
第4章 量子アルゴリズム
第5章 NISQ量子アルゴリズム
第6章 量子コンピュータのエラー訂正
第7章 量子コンピュータのプログラミング
第8章 量子コンピュータのアーキテクチャ
第9章 量子コンピューティングでひらく未来

この本のおすすめポイント

この本はエンジニアを対象に、量子アルゴリズムなど実用に重きをおいて解説した本です。

研究者の方に初心者向けの量子コンピュータの参考書と聞くと量子力学や量子情報のいわゆる物理の定番を紹介してくれる人が多い気がします。

物理の数式

基礎という意味では非常に大切なのですが、理論の話が多いのでエンジニアの目線から考える基礎とは多少乖離しているように思えます。
アプリケーションを作ろうと思ってコンピューターサイエンスを位置から勉強するようなものですね。

この本は量子コンピュータを使う上での基本的なアルゴリズムの解説をメインに、それらを理解する上で必要な基礎知識を解説している点が物理の参考書と大きく異なりおすすめできる点です。

実際に皆さんが量子コンピュータを使用するとなったら、QiskitなどのSDKのチュートリアルから初めて感覚を掴もうとすると思いますが、この本はチュートリアルを補完して理解する上で最適です。

また、量子化学や量子機械学習といった各分野への応用についても触れているため、自身が携わるドメインに関しての基礎知識を身につけることができるという点でも他の参考書にはないポイントです。

この本の前提知識

  • 量子コンピュータの概要:必要
  • 量子アルゴリズムの知識:不要
  • 数学の知識:大学1-2年程度必要(線形代数・微積分)

この本を読む上で量子アルゴリズムについては基礎の前提部分から解説しているため知識ゼロでも問題ありません。

ただし解説する上で当たり前のように数式を用いているため大学1-2年程度の数学の知識があることが望ましいです。
といって数学の教科書を探す必要は無く、行列やテンソル、微分の計算方法がわからなかったら調べられる程度の状態であれば全く問題ありません!

一方で、そもそも量子コンピュータとは何かということについては歴史的経緯の説明しかされていないので、量子コンピュータについて全く知らないという方は事前にこちらの記事で簡単に概要を理解してから読み始めることをおすすめします。

Qiskitを使いながら量子アルゴリズムを学ぼう

この本の実用性は量子プログラミングをやってみると実感できると思います。

量子プログラミングのツールはいくつかありますが、IBMが手動で開発しているOSSのSDKであるQiskitがチュートリアルや教科書などの教材も豊富でおすすめです。

Qiskit

自身で量子回路を組んで計算を実行していくときに、この量子回路は何をしようとしているのか、なぜこうあるべきなのかといった点を学ぶときにこの本が活躍します。

ぜひエンジニアの方は一冊手元においてください!
Qiskitの使い方はQuantum TokyoのYoutubeチャンネルに動画を公開しているので併せて参考にしてください。

この本の他にも参考書をレベル別で紹介しているので自分にマッチしそうな本があったら手にとって見てください。

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