企業は一体どれだけ利益を出せば良いのか?〜WACCの考え方〜

ニュースを見ているとよく

今期のA社の利益は○○億円です。…

というような話を聞くことがありますよね。ここで一つ疑問なのは企業ってどれだけ利益を出さなくてはいけないのでしょうか?利益の大小は何で判断しているのでしょうか?

そんな疑問の一つの答えとしてWACC(ワック)というファイナンスの考え方があるので紹介します。

WACCとは?

WACC(Weighted Asset Capital Cost)とは加重平均資本コストと呼ばれるもので、企業が調達するお金に対してどれだけのリターンが求められているかを表しています。

「加重平均資本コスト」という名前をみると、何らかの重みをつけて平均して求めた資本コストと解釈できます。なのでWACCを理解するためには下の2点が必要です。

  • 資本コストとは何か
  • 重み付けは何を基準に行っているのか

まずは資本コストの考え方から見ていきます。

資本コストとは出資者へ返す必要がある見返り

そもそも企業活動とは以下の3点に集約されます。

  • お金を調達する
  • 投資、運用する
  • 利益をあげる

つまり企業として活動するためには銀行などの債権者や株主からお金を調達する必要があります。

資本コスト

もちろんお金はただで借りるわけではないので利益を出して見返りを返さないといけません。銀行であれば利息、株主であれば株価や配当という形で出資に報います。

つまり企業は最低でも資金の調達先に対して見返りを返す分以上の利益を求められているのです。これが資本コストという考え方です。

出資は株主と債権者に分けられる

ここでお金の調達先は2種類(債権者と株主)に分かれるので資本コストは次のように分解することができます。

資本コスト = 負債コスト + 株主資本コスト

新しい言葉が出てきましたが慌てる必要はありません。

  • 負債コスト

    債権者に対して求められている見返りです。利息などが当てはまります。
    利息とは銀行が企業に対して求める見返りと考えられますね。

  • 株主資本コスト

    株主に対して求められている見返りです。つまり投資家がどれくらいの見返りを期待して投資をしているかということになります。

株主資本コストは目に見えづらい

ここで株主資本コストは負債コストが利息であるように、わかりやすい指標がありません。なぜなら企業に対して期待する見返りは人によって異なるからです。

同じ資金を投資している投資家の中でも下のようにそれぞれ考え方は異なるはずです。

A社はこれから伸びそうだし10%くらい利益出すだろう!

A社は伸びそうだけど企業体質が心配だなあ。2%いけば十分かな。

ではどのように株主資本コストを求めれば良いのでしょうか?一つの考え方としてCAPMというファイナンスの理論があります。

CAPMについてはここでは詳しく触れませんが、市場全体を見て株主が企業に対してどれだけの収益率を期待しているかを非常にシンプルな式で計算しています。

資本コストまとめ

ここまでの話をまとめます。

資本コストとは出資者が企業に対して期待している見返り(%)を表します。

出資者は債権者と株主に分けることができて、債権者が期待する見返りを負債コストといい利息が該当します。

一方株主が期待する見返りを株主資本コストと呼び、CAPMなどの理論を用いて求めらることが多いです。

WACCの求め方

それでは負債コスト、株主資本コストを求める準備が整ったのでWACCを求めていきます。WACCは以下の表式で表すことができます。

$WACC = \frac{D}{D+E} \times (1-T_c) \times 負債コスト+ \frac{E}{D+E} \times 株主資本コスト$

記号の確認

見慣れない記号は$D、E、T_c$の3つですね。1つずつ確認していきます。

$D$は負債(Debt)、$E$は株主資本(Equity)を表します。そのためこれら2つの単位は「円」です。一方負債コスト、株主資本コストは貸し手が要求する見返り(収益率)でしたので単位は「%」です。

$T_c$は実効税率といい、銀行からお金のように利息のある負債に関しては支払利息が課税対象とならないために調整する必要があるのですがここでは何かファクターがかかっていると考えてください。

実効税率$T_c$を考慮しなければWACCとは資本に対する負債$D$と株主資本$E$の割合を重みとした平均と考えることができます。

WACCを計算する

WACC

それでは実際にWACCを計算してみましょう。簡単のため実効税率$T_c$は0%とします。

ある企業Aは銀行から2億円を金利3%で借入しています。また発行済株式の時価総額は1億円だった場合を考えます。ここで、株主が企業に期待する収益率はCAPMの計算から10%であったとしましょう。

WACCは先ほどの式に当てはめると

$WACC = \frac{2}{1+2} \times 3+ \frac{1}{1+2} \times 10 = 5.33\%$

調達したお金3億円に対して負債2億円、株主資本1億円なので負債コストに対する重みは2/3、株主資本コストに対する重みは1/3となるためWACCは約5.3%と求まります。

つまり企業Aは約5.3%で資金調達を行っているということがわかりました。銀行から3%で借りているから3%以上の収益率を出す必要があると思いがちですが、実際は最低でも5.3%の収益率を出さなくてはいけないのです。

まとめ

WACCを求めることによって、企業が最低でも挙げなくてはいけない収益率を計算することができる。

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